エルメス食器のミニ知識

エルメスの創業と目指したもの

 エルメスは1837年、パリ・マドレーヌ地区に高級馬具の製造工房を開いたのが始まりでした。
初代ティエリ・エルメスは決して裕福ではない生い立ちで、15歳になる頃には両親・兄弟を亡くし一人で生計を立てなければいけない境遇でした。そんな中、当時内戦や物資の移動手段に使われていた馬車に目を付け、馬具製造工房に入り修行し技術を磨き上げ、多くの馬具製造工房の中でもティエリのいた工房が多く受注を受けるようになります。そして工房長からの太鼓判もあり、36歳の時にパリに高級馬具の工房を開きます。その高度な製造技術と装飾の素晴らしさからナポレオン3世やロシア皇帝をはじめ王公貴族御用達馬具商としてブランド価値を高めていきました。創業以来一貫した職人の高い技術とデザインの融合が現在のエルメスまで培われており、170年続くエルメスのバックグラウンドが今日の製品を手にした際の感動に結びついています。

 設立当初はハーネスなどの馬具製作のみでしたが、時代の変遷から自動車の実用化に伴い馬具の受注が減少します。しかし先見の明に優れていた2代目シャルル・エミール・エルメスは1880年代に馬具製造技術を活かしてバッグや財布など手掛けるようになりました。
エルメスの事業の多角化
 3代目エミール・モーゼル・エルメスによって事業の多角化に成功し1918年にアパレルへ進出します。1920年代に世界初ファスナー付きバック「ブガッティ」(後の「ボリード」)を発表。他にもアクセサリー部門を創設しました。
 1930年代には時計ラインの製造とスカーフの自社製造を開始します。1950年代にはシルクスクリーン技術をシルクスカーフデザインで採用し、これまでにない鮮やかな発色とデザインが大好評となりました。
エルメスの創作理念は食器にも
 1978年に第5代目会長に就任したジャン・ルイ・デュマ氏は「食は文化であり芸術である」を理念に1983年にテーブルウェアに進出します。同時期に靴メーカーのジョンロブや食器メーカーのサンルイ、ピュイフォルカなど企業買収も行いますが、傘下に入った企業はいずれもエルメスと同様に大変優れた技術を持つ職人を雇用・育成しており、エルメスの一貫した技術の保護と職人・技術者を大切に想う姿勢が見て取れます。

 クリスタルの女神と呼ばれるサンルイや芸術的な装飾で有名な銀食器のピュイフォルカなど一流のテーブルウェアの製造会社を傘下に入れることで、エルメスのアール・ド・ヴィーヴル「暮らしの芸術、生活芸術」の提案は現実のものとなり、デザイン性と技術・職人技の高さをエルメスの小さな器一つにも感じることが出来ます。

ちなみに・・・
 食器のガダルキヴィールシリーズの裏面刻印部分に、職人さんを表すマークが入っているのはご存知でしょうか?♪やΣ、チェリーなど数種類あり、そのマークで収集しているコレクターがいらっしゃいます。職人さんを大切に想うエルメスの思想に触れることができ・・・最高級・最高品質を謳う中にも遊び心と作り手の温かさが感じられます。ガダルキヴィールシリーズがお手元にございましたら是非職人さんのマークもご覧いただければ幸いです。
エルメスーマーク
マークの一例
ガダルキヴィールの裏面に職人のマークがプリントされています。職人のマークで集めているコレクターもいらっしゃいます。
細部に至るまで遊び心と職人を想うエルメスの理念を窺い知ることができ、全てのマークを見てみたいとコレクター欲が出てしまい・・・スタッフにとっても出会う度に楽しいアイテムです。

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